バリウムと直木賞

今日は会社を休んでバリウム検査に行った。
会社の健康診断でも受診できるのだが、私には、会社でバリウム飲んで、その後にふつーに社員食堂でお昼を食べて、しかも下剤を飲んだというのに、ふつーに仕事をするというのが、どうしてもできそうにないのだ。
要は意気地なしです、ハイ。
なので、毎年パスして、近所の病院で受診している。

月曜ということもあって、予約をしたにもかかわらず、一時間半くらい待たされる。
この病院は胃腸科ではないので、インフルエンザな人もいっぱい。
明らかにそばに寄りたくないくらい重症の方も…。

ひたすら本を読みながら、自分の順番が来るのを待った。
もうすぐ昼になっちゃうよお腹空きすぎだよという頃にようやく名前を呼ばれた。
検査着に着替えて、さらに待たされたので再び本を読む。


バリウム検査は、まだ二度目なのだが、いつもどちらに回転するのか、どちらに顔を向けるのか大混乱してしまう。
壁側が「むこう」
先生のいる側が「こっち」

と検査機に注意書きがあるのだが、くるくる回っているうちに分からなくなってしまい、
「あ~、反対ですよ~」
と何度も注意されたりする。

それなのにいきなり
「左手でポットをとってバリウム飲んでください~」
などといきなり「左右」という概念を持ち出されると、
「ええーと、こっちはお箸を持つ手だから右で~」
なんて考えないと分からなかったりする。
情けない…。

でも、発泡剤とバリウムの恐怖におびえている私に、これ以上難しい要求はしないで~という気分なのである。

今年もとりあえず異常はなさそうだった。
実は十数年にわたり、慢性的に胃痛に悩まされている私なのだが、昨年の検査の際、いくらそう主張しても
「いや、とってもキレイで、異常なしですよ」
と太鼓判を押されてしまったので、今年は主張するのはやめた。
要は、ちっちゃいストレスとか、食べすぎのせいなんだと思うし。

病院で読みかけた本が、もう少しで読み終わりそうだったので、帰宅後、再び読書に没頭した。
今日読んだ本は、直木賞を受賞した角田光代「対岸の彼女」
角田作品は「太陽と毒ぐも」しか読んでいないのだが、これが意外と面白かったので、今回の受賞に乗じてミーハー的に買ってみた。

ところが。
不覚にも、後半とラスト近くで泣いてしまった。
病院ではさすがにインフルエンザ軍団に囲まれていたので、そんなことはなかったのだが、家で1人で読んでいたらはらはらと涙を流してしまった。

映画見ても泣かないし、「セカチュー」を読んでもまったく泣けなかったのに。
それはこの本が、恋愛小説じゃないからなのかもしれない。
あと著者と私の年齢が近いからかな。

私は女子高ではなかったけど、それでも中高時代にはそれなりに友情や、将来について悩んだりした経験がある。
今は、毎日なんとなく忙殺されてしまって、そんなこと思い出しもしないが、この本を読んでいたら、登場人物たちにその頃の自分が重なって、何となく切なくなってしまった。

角田光代恐るべし。
よくもアタシを泣かせたな(笑)

それしてもこの本、

30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵。性格も生活環境も全く違う二人の女性の友情は成立するのか

なんて内容紹介が書かれていたりするけど、そういうあおり方はあまりよくない気がする。
この本の本質は、そして著者がねらったテーマは、もっと他のところにあると思うよ。

バリウムと直木賞” への6件のフィードバック

  1. ため のコメント:

    最近『負け犬』という言葉が一人歩きしていますよね~。

  2. チャズ のコメント:

    まきまきさん。バリウム、御苦労さまです!
    私はまだやったことないんです。そろそろ検査した方が、、と思うんですが、周囲からのバリウム談義を色々と聞き、すっかりおじけづいています。(苦笑)

  3. Fumi のコメント:

    バリウム、お疲れ様でした!
    私も来年ぐらいから挑戦しようと思うけど、やっぱりなかなか、ねぇ。

  4. まきまき のコメント:

    チャズさんあそびにきてくれてありがとう{超びっくり}
    私は昨年度から、胃がん、乳がん、子宮がんの検診を受けるようにしています。いちおういずれも異常なし。
    太鼓判押してもらえると安心はしますよね。
    何度もバリウム経験のある友人によると、バリウムにもうまい(というよりマシな味{はてな})、まずいがあるようです。会社のよりは、病院のやつのほうがまだマシだよ、とは彼女の弁。
    まぁ、私もすごーくおじけづいていたのですが、飲んでみたらこんなもんかな{なんで}という感じ。何度も回転することのほうが想像以上にタイヘンだよー。
    みなさんも受けた暁にはご報告まってます{カエル}

  5. バオバブ のコメント:

     こんにちは。バオバブといいます。(ちょっと昔の記事へのコメントでごめんなさい。)
     「対岸の彼女」は泣けますか・・・!まだ読む気はなかったんですが、少々興味が出てきました。私も角田光代作品は好きです。全部は読んでませんけど、「東京ゲストハウス」が個人的に好きですね。もちろん、(有名どころで)「キッドナップ・ツアー」も好きです。ちょっと切なくて。
     よろしくですー。

  6. まきまき のコメント:

    バオバブさん、コメントありがとう{超びっくり}
    「対岸の彼女」は、誰でもってわけじゃなく
    ・女性
    ・角田光代と近い年齢
    の人限定で泣ける気がします。
    (ネットでちょっと見た感じでもそういう傾向)
    「東京ゲストハウス」、「キッドナップ・ツアー」はまだ読んでないので、今度トライしてみます。

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