悪人

3連休最終の今週月曜日、今年20本目の映画
「悪人」を友人と見に行った。

原作である吉田修一の小説は、
朝日新聞に連載されている時に読んだ。
新聞小説って、どうしても途中で飽きてしまって
読まなくなることが多いけど、
この「悪人」だけは、おそらく1回も欠かさずに読んだ。

小説ももちろん面白かったけど、
それ以上に魅力的だったのが束芋の挿絵。

人の指や髪や内臓などで構成された
グロテスクとも思えるような絵が、
この小説の登場人物たちの悩みや心の闇を
そのまま映し出しているようで、
目が離せなくなってしまった。

そんな束芋の画集が出ていたのは知らなかった。
ちょっと欲しいけど、
指や内臓を夢にまで見そうだ。

で、映画の話だった。
小説を読んだのは数年前なので
ところどころ忘れていて、
映画を見ながら「あぁ、そうだった」と
反芻する感じ。

意外と原作に忠実だったと思うけど、
後から気づいたら、
けっこう重要な登場人物である美保は
映画では、その存在すら消されていた。

あのエピソード、あるとないとでは、
主人公 祐一の見え方が違ってくると思うのだが。

なんだか映画だと、
祐一がちょっとだけ間違いを犯してしまった
かわいそうな人に見えてしまうけど、
原作ではもう少し、いろんな側面を見せて
そうそう祐一だけに同情できなかった。

だからこそ、面白かったんだと思う。
誰にも同情できるようで、同情できないような、
皆が悪人で悪人でないような。

でも、ブッキーもふかっちゃんも
頑張ってます。
満島ひかりは、ああいうイヤな女が
ほんとによく似合うし。
岡田くんも、ああいうバカっぽい
大学生がとってもお似合い。

どうでもいいけど、刑事役の池内万作。
「龍馬伝」の三条実美の印象が強すぎて
今にも「攘夷実行は5月10日」と
言い出すんじゃないかと
気になって気になって仕方がなかった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です