遠距離通勤をするようになって、はや2ヶ月半。
電車の乗車時間は1時間、乗り換えは1回。
2本めの電車は始発駅なので、間違いなく座れるが、最寄駅から乗る1本めの電車は、まず座れない。
ただし、運よく目の前の人が途中駅で下車すれば、当然ながら座ることができる。
つまり、最初に誰の前に立つかが肝心なのだと気づいたのは、通いはじめて1週間ほど経った頃だった。(遅ッ)
というのも、隣駅から乗ってくる若い女が、毎朝ものすごい執念でポジションを狙うのを見たからだ。
最初、彼女に「すみません~」と言われて、立ち位置に割り込まれた時は、何が起こったのか分からなかった。
ワケが分からないまま、もしかして私何かしたのかもと思い、「あ、すみません」ってとっさにあやまっちゃったくらいだ。
しばらくすると、さっきまで私が立っていた場所の前に座っていたおじさんが途中下車。
何食わぬ顔でその席に座る女…。
その後、毎朝彼女を観察してみると、数人いる途中下車オヤジを必ずマーク。
人が立っていようが、かなり強引に立ち位置を確保、途中駅から間違いなく座る。
日によってオヤジのフォーメーションは異なるが、彼女のアタマの中には、全メンバーがインプットされているらしく、確実に目的のオヤジをマークするのだ。
しかも彼女、かなり若く、体つきは華奢。
でもって、割り込む時は必ず顔をしかめて、まるで自分が押されて迷惑しているかのように振る舞うのである。
ちなみに同じ駅で下車するのだが、この時もまるで泣きそうなくらいに顔をしかめながら、ずんずん人を押しのけ、信じられない横入りをしながら改札に向かう。
きっと彼女はカラダがとても弱くて、立っていられないし、人混みも苦手なのだろう。
戦いには毎回敗れ、あまりの強引さにかなり腹立たしさをおぼえた私は、最近は自分にそう言い聞かせて、できるだけ怒りを抑えるようにしている。