ゆれる

神保町でぶらぶらして時間をつぶしてから、今年32本目の映画「ゆれる」を見に行った。
日中うんざりするほど暑かったし、休出で疲れちゃったし、ムリするのはやめようかな、とも思ったのだが、まだ3連休初日だし、今見ておかないと見逃しそうな気がしたので、ちょっと頑張ってみた。

オダギリジョー演じる弟・猛と香川照之演じる兄・稔。
母の一周忌で帰省した猛と、家業を継ぐ稔、そして幼なじみの智恵子の3人は懐かしい渓谷へ足をのばす。
そこで起こったある出来事。

最初はおだやかで善良な人物に見えた稔の言動が、次第に鬱積していたものをあらわにしながら変貌していくさまと、都会で写真家として成功し、自信がみなぎっているかのように見えた猛の心情が、繊細に揺れ動くさまとが対照的。

事故だったのか、事件なのか。
真実の行方は、兄弟の確執を露呈しながら二転三転する。

オダギリジョー香川照之の対峙が迫力に満ちていて圧倒される。
人間の感情がさらけ出された時って、ほんとに恐ろしいものだとつくづく思う。
でも何より、そら恐ろしいのは、監督・脚本の西川美和の才能だ。
可愛らしい顔しているのに、兄弟の心のひだを微細に綴り、さらにそれを映像化する。

オダギリジョーが、「男でもあり女でもあり、少女でもありおっさんでもある。同世代にしとくにはもったいない逸材」と評しているけど、まだ若い監督だからこそ、これからまだどんなスゴイものが出てくるのかが楽しみ。

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