悲しいとき

先週の水曜日のできごと。

朝、乗り換え駅で電車を降り、
改札から改札への移動の最中、急に不穏な音が。

パラッ、パラッ。
パラパラパラパラパラ~。

ん?なんの音だ?
と考えながら、同時に事態を理解した。

首にかけていたネックレスのワイヤーが切れて
大小のビーズがまるで滝のように
私から流れ落ちているのだ。

まわりは通勤客でごった返している。
這いつくばってビーズを拾うことも、
どんなふうに見られているかを伺うこともできず。

でも、いつもより電車が遅れて乗り換え時間が
ほとんど無いことに気づき、
無残な姿になったネックレスを首からはずして
バッグに放り込み、その場を後にした。

滑り込んだ電車の中で、
そっとバッグからネックレスを出してみた。

輪になったネックレスではなく、
胸のあたりでクロスして、
X状に2本の足がのびているような形だったので、
不幸中の幸いというべきか、
半分のビーズが残されていた。
(つまり、片方の足を留めていた先端部分が
はずれてしまったらしい。)

半分残ったビーズを数えてみたら、
大中小あわせて、約100個ものビーズを
改札前でばらまいたことになる。

買ったのはだいぶ前だけど、
とてもお気に入りで、季節を問わず年中つかっていたため、
会社に着いてからもショックでたまらない。

さみしくなってしまった首まわりをふと見るたび、
気に入っていたなら、なぜふだんからちゃんと
メンテナンスをしてなかったのか、と悔やんだり。

あれだけたくさんのビーズをばらまいたんだから、
きっとマダ残ってるんじゃないか。

帰りの電車でふと思い立ち、
忌まわしい場所でビーズ探しをすることにした。

しかし、帰りの時間も帰宅ラッシュで、これまた人が多い。
改札を出たところで立ち止まり、
ケータイを眺めたりしてやりすごし、
人が少なくなるのを待った。

ふと、券売機下の隅の方に目をやったら、
キラキラ光る丸いものが。

あ、アタシのビーズ!

ここで気づいたのだが、
落としたモノを拾うのはそれほど恥ずかしくないけど、
落ちてるモノを拾うのにはけっこう勇気がいる。

お財布やケータイならまだしも、
小さな玉はかなり勇気がいる。

人が少なくなったのを見計らって、
さっとしゃがんで、キャッチ。

視線を落とすと、あるある。
ここにもあそこにも。

ざっと10個ほど拾ったのだが、
残りの約90個はどうにも見つからない。

中には、いやに光ってるなぁと思ったら
パチンコ玉だったり。

あきらめてこの日は帰宅したが、
翌朝の通勤途中、改札前で光るモノ発見!
でも、またしても人が多く、とても拾えない。

よし、帰りに拾おう、とその場を立ち去ったのだが、
帰りにはもうビーズはどこにも無かった。

この1週間というもの、くだんの場所を通ると、
どうしても足元を見てしまう。

でも90個のビーズたちは、散り散りになってしまったようで、
もう姿を見せることはなかった。

似たようなネックレスを求めて
デパートをうろついてみたりしたけど、
当然ながら同じモノは見つからない。

色はまったく違うものの、
形がちょっぴり似ているネックレスを買う時に
お店のお姉さんに事の顛末を話した。

お姉さんいわく、
「私、ネックレスが切れたときは、
ネックレスが身代わりになって
何かを断ち切ってくれたんだな、って
思うことにしてるんですよ」

なるほど。
そういう考え方もあるか。

でも残った半分を捨てるのももったいないから
新しいビーズを足して、リメイクという手もあるかも。

そんなことも思いついて、
悲しい気持ちが、ようやく少し晴れた。

悲しいとき” への2件のフィードバック

  1. もぃ のコメント:

    ふふふ。なんだかほんわかして読ませてもらいました。
    パラパラの音はきっと残響が掛かって、まきまきサンの耳だけに響き渡ったことでしょう。それについてはとっても残念でした。
    >落ちてるモノを拾うのにはけっこう勇気がいる。
    これは、笑える。実感こもって笑えます!
    ホントにそう。これこそ、「言い得て妙」ってやつ。
    10個ひろってえらかった!
    残ったビーズでリメイクしましょう。伸びるてぐす(なんて言うのか知らないんだけど)もあるし、ちょっと短めのネックレスとか、ブレスレットとかねー。
    >とてもお気に入りで、季節を問わず年中つかっていたため、
    >会社に着いてからもショックでたまらない。
    すごくわかるなぁ、この気持ち。
    高校生の時に読んでた、当時若手作家でイケイケだった方の小説のクダリのここが好きでした。
    主人公の女の子が割っちゃったお気に入りのカップをみて泣いている。どうやったら元に戻るのか、なんで割っちゃったんだろう?って。そしたらお母さんが優しく言った。
    「割れたものを元に戻す方法は、ひとつ。割らないこと。」
    そういわれて、吹っ切れた、、、、そんなような話だったと思う。
    お母さんは決してツメタイ人だったのではなく、人生そういうもん、そう言いたかったのかぁとか、妙にロマンチック(ん? 切ない? うーん、言葉が不適切だなぁ。)な気がして好きでした。

  2. まきまき のコメント:

    {ひまわり}もぃさん
    私、モノの手入れが悪いので
    たまにこういう目にあいます。
    お気に入りだったら、
    ちゃんと大切に扱えよ!と
    毎度自分に言いきかせるんだけど、
    ダメなのよね。
    とはいえ、たいていは、
    スグにキモチが切り替えられるんだけど、
    今回は、しょっちゅう使っていただけに
    かなりショックでした。
    「割れたものを元に戻す方法は、
    ひとつ。割らないこと。」
    なるほど。
    あぁ、あとで人生後悔しないよう
    毎日大切に過ごさなきゃ。

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