収納家具購入にあたり、本命だった北欧メーカー。
ところが見積もりをお願いしてから、その後ちっとも音沙汰がなかった。

メールで送ると言っていた見積書が営業担当者から郵送されてきたのは、10日以上経ってから。
しかも送られてきたのは、総額の見積書だけで、計算根拠となる図面も、部材の一覧も同封されていないので、なんとも判断しようがない。
（ま、想像の範囲内の高額なお値段だったけど。）

そこで図面を送ってくれるよう、また詳細について相談したい旨をメールを出したのだが、これまたちっとも返事がこない。
シビレを切らし、数日後の昼休みに電話をしたら、以前対応してくれた社員さんが出た。
なんでも、図面もすべて営業担当者に渡してあるそう。
担当は今日は不在とのこと。
ただし、図面はスグにメールで送り、担当から折返し連絡もさせるという。
そうか、営業担当者がなってないのかな…

送られてきた図面は手書きで線を引いたもの。
でもきちんと希望がすべて折り込まれていた。

翌日、担当からもメールで連絡があり、週末にゲンチョウ（何のことかと思っていたら「現調」だった。現地調査ね…）に来るという。
できればその日にお願いしたかったので、即OKで返答した。

そして、今日、営業担当者がわが家にやってきた。
とにかく散らかっているものは押入れに放り込み、調査に関係ない部屋の扉は閉ざすことにした。

バリバリの営業マンを想像していたのに、やってきた営業担当者は…

なんと、かなり年のいったおじ様だった。

営業担当といっても、彼は設計技術者なのだろう。
ひとしきり概略図面の話をしたあと、あちこちの寸法を測り始めた彼のメジャーさばきは、ほれぼれするほど素晴らしかった。
モノが置いてあっても、高さがあろうとも、必要なところにきちんとメジャーをあてて、きちんと寸法を測っていく。

しかもそれを正確なパースで、さらさらと手書きする。
ああ、私はあんなにデッサン教室で苦労したのに、このおじ様はいとも簡単に、わが家の室内を正しく描写していくではないか。

さらに話をしたところ、この会社の母体は、店舗内の売り場設計などを請け負っており、設計者も何十人もの規模で抱えている会社なのだそうだ。
また北欧の会社の方は、もともとは展示会のブース設計や部材を供給する会社らしい。
双方が新事業として目をつけたのが、一般家庭の収納家具。
北欧の会社は日本に供給するためだけに、収納家具部材を新たに開発し、また設計会社の方はこの事業部を独立させ新会社を興したのだという。

本来は工務店経由で供給するものを、メーカー直販としているのがこの会社で、この会社自体はそれほど規模は大きくないらしい。
ゆえに、対応が多少遅くなったりするのは仕方がないのかも知れない。
しかも、図面をスキャンして、メールにファイルを添付して…などということは、ちょっとおじ様には難易度高そうだし。

それにしても職人気質というか、とても丁寧で律儀なおじ様だった。
今日、「ゲンチョウ」した結果を元に、再度図面を引きなおして見積もりを出し、仕上がりのイメージ図も作成してくれると言う。
うまく条件があえば今月中の納品も可能だそうだ。
とりあえずは回答を待つことにする。

お値段はかなり高いのだけど、

　フルオーダーである
　ゆえに今だけでなく、今後の組み換えも自由がきく
　素材の品質はかなりよい
　なかなか堅実な会社である
　対応してくれた社員が皆なかなかいい人である

というあたりで、私もダンナもかなり心が傾きつつある。
特に、私たちにとってモノゴトを決めるときに重要なファクターとなるのが最後の項目。

結婚式場を決めるときも、マンションを買うときも、ソファーを買うときも、すべて担当者の人柄で決めた私たち。
（もちろんモノのクオリティも、ある程度条件クリアしているのが前提だけど。）

このセオリーでいくと、ココに決めてもよいのかも知れないな。